将軍様の鉄道
国分隼人著「将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情」新潮社刊
現在の北朝鮮の鉄道に関しては軍事機密であるためほとんど情報がありません。
当然鉄道地図、時刻表などは外国人には公表されていないものなのですが、著者が手に入れた粗末な時刻表から路線図を起こし、地形図に落とし込み、駅名も漢字で表示、とこれだけでも大変な手間と時間のかかる作業だったと思われます。
さらに車両についても過去から現在まで、蒸気機関車から路面電車、トロリーバスまで写真とあわせ紹介しています。
付録のDVDには蒸気機関車から地下鉄まで、沿線や車窓など、よく撮影できたと思える文字通りのスクープ動画が収録されています。
表紙で目につく右上の新幹線モドキの電車、これは北朝鮮が誇る高速電車「主体号」なのだそうです。
ソ連製高速電車ER200(別名シンカンセンスキー)がベースらしいのですが、切手にも登場する北朝鮮を代表する車両を目指したようですが・・・
現在は「科学者専用通勤電車」として一日一往復平壌近郊で働いているそうです。
60年代テイストのデザインと色で「科学者専用」!車内は御茶の水博士のような白衣の人たちが乗っているのでしょうか?
また戦前登場した金剛山電鉄の長距離用電車デハニFが保存車として現存すること、省型電気機関車をスケールアップしたデロイ、デロニ型電気機関車が戦後も北朝鮮で活躍したらしいこと(これも切手に登場)など幻と思われていた車両たちの消息が分かったとこは私としては大収穫でした。
写真もたくさん掲載されていますが、北朝鮮のものではない、中国などの同形車を掲載していると思われるものがあり、このあたりは注意書きがあっても良いかと思いました。蒸気機関車の走行シーンもツアーのためのデモ走行のようです。
このような書籍を喜んで購入される方は少ないと思いますが、書店に並んでいたら手にとってみることをお勧めします。
世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるのだと思い知らされます。
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コメント
こんにちは。
こちらもこの本を購入し、DVDも見てみましたが、こんな情報をどの様に入手したのかと驚かされるモノが多数ありますね。
それにしてもこの国の鉄道、中国と比べても相当格落ちと感じられ、現在の経済状況が随分明確に現れている様にも感じられますが、人間だけでなく鉄道車両まで拉致してしまうお国柄には呆れさせられるものです。
投稿: MAKIKYU | 2007年2月 7日 (水) 15時08分
中国から乗り入れた客車を国内運用にあててしまって平気でいる・・・冗談みたいな話ですね。
投稿: TADA | 2007年2月 7日 (水) 23時12分