交通新書 乗ろうよ!ローカル線
ここ数年法令の改訂により地方ローカル鉄道の廃止が続いています。
本書は過疎化、少子化でさらに苦境にたちつつあるローカル鉄道の現状と今後の方向性を示した著作です。
鉄道ブームとやらのおかげで鉄道書の刊行も増え、銚子電鉄のぬれ煎餅騒動や和歌山のネコ駅長、いすみ鉄道の公募運転士などローカル私鉄にまつわる話題もマスコミをにぎわせていますが、ではこの先地方の鉄道はどうなるのか、を論じたものはあまりありません。
現場の方や社長さんの著作もありますが、そこで今後の生き残り策について具体的に成果も含め書かれているかというとそうでもない場合があります。(この手のものですとえちぜん鉄道アテンダントさんの「ローカル線ガールズ」が読んだ中では出色でした。)
本書は鉄道を地域の足としてこれからも残してゆくにはどうするのかを、消えていった鉄道も含め各地の事例を紹介し、社会資本としての経済価値をふまえ鉄道を残す道を探っています。
そこで繰り返し主張されているのは、鉄道を残すかどうかは地元の意志にかかっている、ということでしょう。
また近隣の私鉄ががんばっているとうちも、という気になるという鉄道側の声も紹介されています。
現在残っているローカル私鉄があるていどエリアごとにまとまっているのは、こうした気持ちも大きいのかもしれません。
路面電車、ケーブルカーをはじめとする観光鉄道についても考察されています。
ローカル私鉄の今後に関心のある方にはぜひ一読いていただきたい本です。
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