鈴木雄一郎著 電鉄は聖地をめざす 講談社刊
一昨年出た本で図書館で借りてきました。
定説になっている小林一三の住宅供給と私鉄経営について、箕面有馬電鉄は最初からそれを目指していたわけではないなど、なるほどと思わせる新たな視点に満ちた本です。
鉄道、特に明治末~大正に開業した市内交通でも都市間輸送でもない電気鉄道は、参詣鉄道として生まれたという観点で、大師電気鉄道、京成、箕面有馬など新規開業の電鉄と宗教施設の関連、なぜ成田山、川崎大師は数ある寺社のなかで大量の参詣者を集めるようになったかを豊富な資料を基に解き明かしてゆきます。
最終章では名古屋で運転された「葬式電車」について、他社でも計画があり、墓所とそこに至る新線計画など知られていない歴史を明らかにしています。
鉄道史、特に大都市交通史に興味のある方は面白く読めること確実です。
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